「立ち話もなんです。私の私室にいらっしゃいませんか?」
「…わかった」
「それが予言書ですか?」
「ああ」
「中に地図の書かれた羊皮紙が挟まっていた。そして本には、謎めいた言葉が数行。しかし、ここに記されているのはゼウスの紋章。俺の目的の場所だと思っている」
「セグレス大陸のほぼ中央…周りは神の山々と称され、人間の立ち入りが禁止されている場所ですね…」
「そう、なのか?」
「ええ…」
「侑徒、お前の眼には、この地図はどう見える?」
「どう、とは?」
「俺は…訳あって今、天使としての能力を封じられている。霊気も人間と同じになっている。以前は見えていたものが見えなくなっている…情けない話だが、俺には、この1枚の地図がすべてなのだ。しかし、これが嘘や罠の可能性もある。もし、この地図にまじないの類がかけられては…」
「大丈夫です。むしろ微かですが、聖なる霊気を感じます」
「では、やはり天界のものだと思っていいんだな?」
「ええ」
「そうか…」
「あなたは何をそれほど恐れておられるのですか?あなたほどの天使が…」
「…………」
「大きな迷い、なのですね?」
「迷い…ああ…そうなのだろう…俺は…迷っているのだ…今、己がしていることが正しいのか…俺は、間に合うのか、と…」
「間に合う…?話を聞かせていただけますか?」
「話…?お前には、なんでも見えるのでは無かったのか?」
「ええ…見ようと思えば、人の心を見ることはたやすいでしょう。実際、一般参賀の時の街に人々への占いの時はこの力を使う時もありました。でも、この力は滅多に使うものではありません。目の前にあなたがいらっるのに何故心を読む必要があるでしょう」
侑徒は、占いを正しく使っている、ユダはこの偶然の奇跡を信じることにした。もとより、今のユダには、今、しか、なかった…
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