「明日…」
藁にも縋る思いでここまで来た。占い…また、不確かなもの。いや…天界では、占いというのは神聖なものだった。天空城には神官と共に占い師が多く住んでいた。彼らは普段、城の外には出ない。いつ何時、不浄なものの犯されるかも知れないと地下の隔部屋を与えられた。彼らが姿を現すのは、聖霊祭のときのみ。
「俺も、彼らのことはよくは知らない」
―幽閉…そんな言葉が浮かぶ…
「…ふっ…俺はとことん、ゼウスのことが信じられなくなっているようだな」
自嘲。己の心の不浄にユダは、瞳を閉じた。
「俺は、どうなっていくんだろうな」
ひとつの不信が次の不信を生む。そして、その不信が疑惑に変わった時、ユダの心から『神』は消えた。光の中に一筋の影。それは日を追うごとに長く、色を濃くしていった。
「もう…戻れないのかも…しれないな…」
そうなったら…
「そうなったら、この地上でシンと二人で暮らすのもいいな…」
そう、二人なら…それもいい。思い悩んでいても仕方ない。今は、目の前にあることを信じて歩いて行くしかない。
「…この手にシンを取り戻す為に……」
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