「あなたがいらっしゃることは、知っていました」
「占いでか?」
「ええ、私の遠見は何でも見通します」
「『ほどなく旅立ちの時が訪れる。お前の運命を変える旅だ』そう、告げがあったのは1か月前のこと」
「そんなに前から…?」
「ええ。信じられないですか?」
「いや…信じよう」
「ありがとう。さすがに尊い魂をお持ちの方だ」
「…………っ」
「私には、見えています。あなたの背中の白い羽が」
「……………」
「告げは、あなたを天界から来た人だと言ってました。紅い髪に天使よ、どうかその名前を教えてはいただけませんか?」
「…ユダ、麒麟のユダという……いや、今は、ただの『ユダ』だ」
(麒麟という称号はゼウスから与えられたもの。もうこの冠は捨てよう)
「私の準備はすでに整っております。いつでも旅立てます」
「旅立つ?」
「ええ、私もあなたと共に地上の虹に場所までご一緒いたします」
まるでそれが最初から決まっていたことのように言ってのける侑徒。
「本日の一般参賀が終わり次第、旅立ちましょう。私の力はきっとあなたのお役に立つはずです」
涼やかな笑顔で言い放つのだった。
。。。続く
【戒めの唇】The lip of the admonition 第一部 完
続編、近日公開予定。
PR
最新記事
(06/10)
(06/02)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
カウンター