早朝、王宮に足を向けるユダ。まだ、門は固く閉じられたまま。
「今日、俺の運命は変わるのだろうか…」
明け方、シンの夢を見たのだ。いつものように蔵書室で本を読んでいたシン。ユダに気付くと柔らかな微笑みを投げかけてきた。そして、ユダもいつものように黙って隣に腰を下ろす。二人の間に言葉はない。だが、伝わる言葉。二人の間に流れるゆっくりとした時間。「シン…お前は、夢の中でもいつものお前なのだな」
自然と笑みが零れる。
『だけど、巫女様に占ってもらいたいってヤツはたくさんいるぜ。まぁ、運を天に任せるんだな』
カサッ。
背後に人の気配。
門番か何かかと振り返った。こんなに朝早く、門の前をうろついていたら不審に思うだろう。事情を話すべく言葉を探しながら。
「紅い髪の天使…」
ユダに視線の先にいたのは門番ではなかった。
「お前は…」
「侑徒と申します」
『侑徒(ゆうと)』そう名乗ったのは王宮に仕える巫女だった。
PR
最新記事
(06/10)
(06/02)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
カウンター