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~Sun-Ctus
2018/07/23  [PR]
 

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『ユダ…』

『……ん?』

『そろそろ、夜が明けます…』

『そうか…』

毎夜、共にした時間。ただ、互いの体温のみを感じ、朝を迎えることも少なくなかった。

肌のぬくもりを感じていられればよかった…唇の温かさを確かめていられれば………

引きよせた胸の中で、そっと小さな溜息をつく仕草…シンだけが、俺の居場所だった。

なのに…

「どうして、今、お前は、隣にいない…?」

…あの時…あの細い身体のどこにあんな力があったのか…ゼウスの放った雷の前に身を躍らせた…俺を…庇って……っ

「……シン…シン……っ」

 

ユダの慟哭は、誰にも…届かない……天界にも地上にも属せぬその身が、悲鳴を上げ続けていた…

 

 

「そうですか…明日には、発つのですか…」

「世話になった」

「いえ、怪我人を見捨てるほど、私は薄情ではないつもりですから」

そう、涼やかに笑うオーディーンの横顔が切ない横顔を思い起こさせた。

(…シン)

あの氷室で時を止めたまま、眠っているシンを想い、ユダは身体が小刻みに震えるのを止められなかった。このまま…このまま、何も出来ず…ただ、時ばかりを重ね、もう二度とあの温もりに触れられないとしたら…詮無い事ばかりが、ユダの心を横切る。

(私は…こんなにも弱くなってしまったのか…)

「お気をつけて…」

「ありがとう…」

僅かばかりの旅支度を村の者にしてもらい、ユダはこの地を後にした。

「待っていてくれ…シン…必ず、戻る…」

ユダの頬に優しい風が、撫でていった……

「…疲れたな…」

急く心のまま、歩を進めていたが、人間の体力は思ったより弱い。その為ユダは度々、長い休息をとる事になった。

「こんな調子では、いつになったら御印の場所に辿り着けるのか…」

虹。本来なら、形のナイモノ。それを見つけることなど出来るのだろうか?長いようで短い言葉、意味を成しているようで意味のない言葉。そんな言葉しか書かれていない地図しかユダには、持ち得ない。

「何が俺をシンの元に誘ってくれるのだろうか。俺は、いつになったらこの痛みを消すことが出来るのだろうか…」

いつ、なぜ、何所に…繰り返すのは、疑問の言葉だけ……何も無い、そのどうしようもない喪失感。今まで味わったことのない敗北感。希望という言葉をこんなにも遠くに感じたことは無いな、と自嘲する思考だけが、ユダの脳を侵していた…

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